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悪魔のささやきと魂の売り方vol.1


本能と理性の闘い

 仕事は多かれ少なかれ、必ず納める期限がある。接客販売なら迅速さが要求されるし、プレゼン資料を作成するなら関わるメンバーに確認できる余裕をもって仕上げるのがプロというものだ。3か月先のプロジェクトスタートであったとしても、予習や資料収集は早くから始めるにこしたことはない。
 しかし残念ながら期限ギリギリに仕上がる、あるいは期限が迫ってきて初めて本気で取りかかる、という現実も少なくない。
 仕事でご一緒させていただいた取引先のY社長から、こんな話を聞いた。
「『眠い。くたびれた。この仕事はしたくない』などと思うのは人間として当然の本能。それにフタをして『仕事をしよう』と考えるのが理性」。

「夏休みの宿題」はいつ提出すればいいのか?

 「今日はもう終わりにしたいな、遊びに行っちゃおうかな」という“悪魔のささやき”。夏休みの宿題は始業式の日には提出しなかった。だから「一日くらい遅れても平気なんじゃない?」と考えるのは理性のようでもある。いや、しかし結局、自己弁護という本能だろう。「一日でも早く完了して、ゆとりをつくろうよ」が“正しい天使”の理性だ。
 人は毎日無数の選択をしている、と唱えたのはコロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授。NHK『白熱教室』でも話題となった。「いつやるの? 今でしょ!」は、有名予備校の講師の台詞。悪魔のささやきに負けるか、理性で乗り越えて次のステージに上がるか、選択は毎日秒単位、分単位で行なわれている。
 もしも悪魔に魂を売ると決めたのなら、潔く仕事を無視して盛大にリフレッシュする、というのもひとつの方法かもしれない。

コラム1/悪魔のえんま帳