これを読めばデザインの仕事がわかる。

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“文字”の話


“文字”の使い方でイメージが変わる

“文字”というのは、デザインをする上で重要な要素。書体の選び方や大きさでイメージは全く変わってしまう。DTPの時代になって、最初に選んだ書体が気に入らないと簡単に変更できるようになったが、“版下”の時代ではそうはいかなかった。どの書体でどの大きさにするかが決まったら、写真植字機を使って“文字”を打つ作業をする人に依頼する。写真植字は略して写植と呼ばれていたが、専用の機械を使って“文字”を印画紙に印字したもの。一字一字作業者が打っていくので、一度書体やサイズを決めたら変更することはできなかったのだ。どういうデザインにするのかのイメージを最初にキチンと決めておかなければならないということだ。

“文字”のカタチはひとつひとつ違う

“文字”は、縦長のもの正方形のものとカタチは様々である。よく文字間がパラパラのデザインを見かける。これは、“文字”の形を意識していないからだと思う。縦長の文字が続くと、当然のことだが文字間が空いてしまう。その場合は間を詰めていく作業が必要になってくるのだ。 “版下”の時代には、写植作業者に依頼する際、文字間・行間の指定をしていた。このときも上がってきたものをそのまま使うことはなく、カッターと糊を駆使して文字詰めを手作業で行っていたのだ。DTPの場合、自動でその作業を行ったりするが、それでも限界があり文字詰め作業は必要になってくる。

“文字”の太さと大きさ

太さにも気を使う必要がある。本文なのに太い書体を使ったりすると、読みにくくなったりする。大きさも同様で、本文には本文らしいサイズがあるのだ。また“版下”の時代の話になるが、写植で文字を依頼する場合、書体によって使える最低の大きさが決まっていた。太い書体は、画数が多い漢字などの場合サイズが小さいと印刷した際につぶれてしまうからだ。DTPで作業するときは、画面を拡大して読めるので大丈夫と思ってしまいがちだが、印刷したときに読めないということがおきるので注意してほしい。

“文字”のエピソード

デザインをする際に手描きの“文字”を使うこともよくあった。写植の時代には、現在のように書体が豊富にあったわけではないので、変化をつけるために手描きで“文字”を作っていたのだ。手描きというのは結構落とし穴で、間違いがないか確認してもそのまま読んでしまう。そして誰も間違いに気づかず印刷してしまい、納品してからお客さんが気づきクレームとなる。DMの仕事をした際に“文字”の間違いに気づかず印刷をやり直したことがある。そのときは、投函の期限があったので封入作業まで手伝って対処した。Webだと、間違いがあってもすぐに修正できるが、印刷だとそうはいかない。最悪の場合、印刷費用の負担ということがあるので要注意。

COLUMN2/デザインのお作法