これを読めばデザインの仕事がわかる。

HOME > COLUMN 2-4

b918f3680c20798fea9c8311452f90a1_s.jpg

“色”の話


“色”を混ぜる割合を把握しておく

印刷物のインキは基本的には4色カラーのプロセスカラーである。プロセスカラーはシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色と補色となる黒(K)のことで、それぞれをどのくらいの割合で混ぜるかで“色”が決まる。“版下”の時代には、製版に渡す際にその割合を示す色指定というものを付けていた。色指定をする際には、カラーチャートというものがあり、そこに“色”の割合を示す数字が書かれていた。それを見ながら指定作業をしていたのだ。DTPの時代になった今は、画面上で色の確認はできるし、“色”の変更も簡単にできる。色指定を付けていた時代には、色校正があがってはじめて確認することができた。しかも、“色”の変更をするというのは、製版作業をやり直すということになってしまう。やり直しを避けるためには、どういう割合にしたら指定する“色”ができるかを把握しておく必要があったのだ。

できあがりをイメージして特色は選ぶ

プロセスカラーでは表現できない“色”もある。その場合は特色という単色のインクを使うことになる。金色や銀色、パステルカラー等がこの部類に入り、ブランドとしてはDICが代表的なもの。今ではあまり見かけなくなったが、昔は1色や2色の印刷物が多くあった。この場合も大抵特色を使う。特色2色を使う場合も色指定は必要になり、プロセスカラーの場合と同じようにそれぞれの“色”の割合を指定しなければならなかった。ここで重要なのは特色の選び方で、できあがりがどうなるかをイメージできないと“色”を決められなかったのだ。ある意味、4色の印刷物よりも難しいと思う。

“色”のエピソード

昔よく製版の人から「別のデザイナーの版下だけど色指定をしてほしい」という依頼があった。その指定紙には色の割合の指示がなく、色を指示する場所にDICのカラーチップが貼ってあった。おそらくプロセスカラーと特色の区別がついていない人がやったのだろう。元々、プロセスカラーではでない色を指定してきているので、近い“色”の割合を探すのが結構大変で時間がかかってしまう。こういう頼み事は一度や二度ではなかったのだ。

COLUMN2/デザインのお作法