“ロケ”の話
撮影にはスタジオ撮影とロケーション撮影(以下ロケ)の2種類があるが、今回は“ロケ”のお話し。
“ロケ”には欠かせない強い味方
どういう写真にするかが決まっていても、どこでどのように撮るかを決めるのが結構たいへん。一箇所の撮影ですめばいいのだが、複数の場所での撮影となると時間の問題も出てくる。そういう場合の力強い味方がロケーションコーディネーターだ。こちらの思っているイメージを伝えれば、撮影場所を探してくれるし、複数の場所で撮る場合は陽の移動を考えてスケジュールも作ってくれる。建物や道路で許可が必要であれば、その業務もお願いできる。もちろんロケバスも用意してくれる。“ロケ”には欠かせないスタッフなのだ。
“ロケ”の前には細かい打ち合わせ
“ロケ”には強い味方のコーディネーターがいるといっても、伝え方が曖昧だったりするとイメージと違う場所を選んでしまう。間違いのないようにするためには事前の打ち合わせが必要で、どのような写真が欲しいかを明確に伝える必要がある。当然、その場にはカメラマンにも同席してもらい、コンセンサスを取っておく必要がある。後日、コーディネーターが選んできた場所の写真を基に、タイムスケジュール等の細かい打ち合わせをするのだ。当日は、コーディネーター、カメラマン、ディレクター(デザイナーが兼ねることもある)、それぞれが自分の役割を認識して迅速に動かなければならない。“ロケ”の場合、スタジオ撮影と違い陽が出ている時間に終わらせなければならないからだ。
“ロケ”のエピソード
コーディネーターにお願いする予算がなく、カメラスタッフとデザインスタッフと営業で“ロケ”をしたことがある。事前に許可を取っておいた公園で、ある事件が起きた。モデルの撮影だったのだが、何度撮ってもバックに他の人物が写ってしまうのだ。営業が、その人に「撮影の間だけ写らない場所に移動して欲しい」とお願いをしに行った。戻ってくると困った顔で「何だか機嫌が悪い、金銭を要求された」と言う。まだ次の場所での撮影もあったので、手っ取り早くお金で解決することにした。その際に営業が相手に言った言葉が「領収書はもらえませんかね?」。この一言で相手は更に機嫌が悪くなった。全員の口からでたのは「お前、余計なこと言うな!!」。