“打ち合わせ”の話
“打ち合わせ”は、相手の話を聞いてくることではない
クライアントと直接“打ち合わせ”ができない状況がときどきある。代理店や印刷会社等が間に入っている場合で、「クライアントに“打ち合わせ”に行ってきたので、“打ち合わせ”をしたい(何だかややこしい…)」という連絡入るのだ。ところが行ってみると話を聞いてきただけのことが多い。“打ち合わせ”という言葉は、元々雅楽の演奏に由来している。リズムを合わせるために笏拍子などの打ち物を打って拍子を取ることで、それが転じて『物事がうまく合うようにする』といった意味になった。ただ話を聞く場ではないということだ。
“打ち合わせ”に必要なコミュニケーション力
『物事がうまく合うようにする』ためには、コミュニケーション力が必要になってくる。コミュニケーションを辞書で調べると『感情を伝える、意志の疎通』とあり、英語の語源はラテン語で『分かち合うこと』という意味である。気持ちや状況を相手と分かち合うことが、コミュニケーション。『分かち合う』ためには、相手の状況を観察する力、相手の話を聞き取る力の他、想像力、発想力等、様々な力が必要になってくるのだ。
“打ち合わせ”のエピソード
大手企業で“打ち合わせ”したときのお話し。クライアント側は3人出席し、内容説明をそれぞれがしてくれた。ところが、同じようなことを言っているようで、3人が3人とも違う内容だった。どれが正解なのか分からず「みなさん違うことを言ってますよ」と切り出すことにした。相手は当然同じことを言っているつもりなので「いや、同じでしょ」と。そこで、「同じようだけど、微妙に違いますよ」と細かく説明すると「本当だ!」となり、「もう一度社内のコンセンサスを取ります」となった。結果「この打ち合わせは後日あらためて」となってしまったのだ。その次点では、微妙な違いでも、後で大きな違いになってしまうことがあるので、“打ち合わせ”のときには、疑問点は解決しておかなければならないのだ。